建設業許可とその種類(29業種)とは|初心者向け簡単解説

建設業許可の概要
建設業許可とは、一定規模以上の工事を請け負う際に必要となる営業許可です。建設業法に基づき定められており、軽微な工事を除いては、許可がなければ原則として工事の契約ができません。
対象は法人だけでなく、個人事業主(一人親方)も含まれます。つまり、事業の規模や会社形態に関わらず、一定以上の工事を受注する場合には必ず関係してくる制度です。
また、建設業許可は単なる手続きではなく、「適切な経営体制・技術力・財務基盤があるか」を確認する制度でもあります。そのため、許可を取得していること自体が、取引先からの信用につながる側面もあります。
建設業許可の前提条件
建設業許可を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。主なポイントは次のとおりです。
経営業務の管理責任者がいること
法人の場合は役員、個人事業主の場合は本人などが該当します。一定期間の建設業に関する経営経験が求められます。
専任技術者を配置すること
営業所ごとに、工事内容に応じた専門知識や実務経験を持つ技術者を配置する必要があります。資格や実務経験で判断されます。
財産的基礎があること
一定の自己資本や資金調達能力があることが求められます。これは、工事を安定して遂行できるかを判断するための基準です。
欠格要件に該当しないこと
過去の法令違反や破産歴など、一定の条件に該当する場合は許可を受けることができません。
これらの条件は「形式的なチェック」ではなく、事業として継続可能かどうかを判断する重要なポイントです。

費用・期限の目安
費用の目安
建設業許可の取得には、主に以下の費用がかかります。
- 申請手数料(知事許可・大臣許可で異なる)
- 必要書類の取得費用(登記簿、証明書など)
- 専門家に依頼する場合の報酬
申請区分や地域によって異なりますが、一定の初期コストが必要になる点は理解しておく必要があります。
取得までの期間
申請から許可が下りるまでの期間は、一般的に1か月〜2か月程度が目安です。ただし、書類の不備や確認事項がある場合には、さらに時間がかかることもあります。
事前準備の段階でどれだけ正確に書類を整えられるかが、スムーズな取得のポイントとなります。
建設業許可の種類(大枠の分類)
建設業許可は、大きく分けて次の2つの観点で分類されます。
「知事許可」と「大臣許可」
営業所の所在地によって区分されます。
- 知事許可:1つの都道府県内にのみ営業所がある場合
- 大臣許可:複数の都道府県に営業所がある場合
事業の展開エリアによって選択が変わるため、将来的な事業計画も含めて検討することが重要です。
「一般建設業」と「特定建設業」
工事の規模(特に下請への発注額)によって区分されます。
- 一般建設業:比較的中小規模の工事が中心
- 特定建設業:大規模工事(下請金額が高額)を元請として行う場合
どちらが必要かは、現在の事業規模だけでなく、今後の受注予定にも関わってきます。
建設業許可が不要なケース
すべての工事に許可が必要というわけではありません。いわゆる「軽微な工事」に該当する場合は、許可が不要とされています。
具体的には次のような基準です。
- 建築一式工事:1,500万円未満、または延べ床面積150㎡未満の木造住宅
- その他の工事:500万円未満
ただし、注意点として以下があります。
- 契約を分割して基準以下にすることは認められない
- 材料支給があっても金額に含めて判断する
- 消費税込みの金額で判断する
実務上は判断に迷うケースもあるため、「金額だけ」で単純に判断しないことが重要です。
建設業許可の種類【29業種】
建設業許可は、工事の内容ごとに29種類の業種に分かれています。自社が行う工事に対応した業種で許可を取得する必要があります。
一式工事(2業種)
- 土木一式工事
- 建築一式工事
これらは、複数の専門工事を組み合わせて総合的に施工する大規模工事が対象です。元請としての管理・調整能力が求められます。

専門工事(27業種)
主な業種の考え方を整理すると次のとおりです。
構造・基礎に関わる工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 鉄筋工事
- 鋼構造物工事
- 舗装工事
- しゅんせつ工事
建物やインフラの土台を支える工事が中心です。
建物の外装・内装に関わる工事
- 屋根工事
- 板金工事
- ガラス工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- 建具工事
建物の仕上げや機能性に関わる工事です。
設備関連の工事
- 電気工事
- 管工事
- 電気通信工事
- 消防施設工事
- 水道施設工事
- 機械器具設置工事
設備の設置・維持に関わる専門性の高い分野です。
その他の専門工事
- 大工工事
- 左官工事
- 石工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 熱絶縁工事
- 造園工事
- さく井工事
- 清掃施設工事
- 解体工事
それぞれに独自の施工内容と技術要件があります。

建設業許可を取得するメリット
受注できる工事の幅が広がる
許可がない場合、一定規模以上の工事は請け負うことができません。許可を取得することで、受注可能な案件の幅が広がります。
結果として、売上の拡大や事業機会の増加につながる可能性があります。
取引先からの信用が高まる
建設業許可は、一定の要件を満たした事業者であることの証明でもあります。
そのため、元請業者や発注者からの評価が高まりやすく、継続的な取引につながるケースもあります。
公共工事への参入が可能になる
公共工事の入札に参加するためには、建設業許可が前提となります。
さらに、経営事項審査(経審)を受けることで、入札参加資格の取得へと進むことができます。事業の安定化を図るうえで重要なステップです。
事業の体制が整理される
許可取得の過程では、経営体制・技術者配置・財務状況などを整理する必要があります。
これにより、自社の状況を客観的に把握でき、結果として経営の見直しや改善につながることもあります。
まとめ
建設業許可は、「一定規模以上の工事を行うために必要な制度」であると同時に、「事業の信頼性を示す基準」でもあります。
また、許可は29業種に分かれており、自社の工事内容に応じた適切な区分で取得する必要があります。
制度自体はやや複雑ですが、全体像としては以下の流れで理解すると整理しやすくなります。
- 許可が必要かどうかを確認する
- 必要な業種を整理する
- 要件(経営・技術・財務)を満たしているか確認する
- 申請手続きを行う
初めての場合は分かりにくい部分も多いですが、ポイントを押さえて一つずつ整理していくことが大切です。
